2019年度第1回定例会、3点目の一般質問は主にフードバンク事業について取り上げました。フードバンクとは、簡単に言うと、「いらない食べ物をもらって、必要な人にあげる」という事業です。これは食品ロスをなくすということに繋がるだけでなく、食料に困っている人への支援という二重の効果があります。国レベルにおいても食品ロス対策としてフードバンク等への支援などが検討されており、立川市でも取組みの応援をしてはどうかと提案しました。

【山本の主張】
日本全体における食品廃棄は年間646万トン(参考:国連世界食糧計画(WFP)が途上国へ支援している世界の食糧援助量は年間320万トン)と非常に深刻な状況である。一方、日々の食に困る生活困窮者も近年増加傾向にある。そのような状況において、フードバンクは非常に費用対効果も大きい事業です。立川市としても是非支援していただきたい。

【立川市の答弁】
正直のところ、あまり良い答弁は引き出せませんでした。フードバンクに対する認知がまだ浅いことを痛感しました。隣の日野市では子どもの貧困対策の一環として、フードバンクへの手厚い支援も行っています。その支援の一つとしては廃校の一室を食糧倉庫として提供するなど、負担も大きくないやり方もあります。立川市としてもそのような支援をしていただきたいと思ったのですが、まだまだフードバンクの必要性や果たしている役割等が浸透していないようで糠に釘でした…
現状のフードバンク活動には私が理事をしているNPO法人さんきゅうハウスも関わっています(というより最初に始めたのがさんきゅうハウスで、その後社会福祉協議会へ業務をお渡ししました)。一員としての活動を通じて、より大きな活動にすることによって立川市に重要性を認知してもらうとともに、啓発も引き続きしてまいりたいと考えています。

―――――――――以下 議事録――――――――――――

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◆2番(山本洋輔君) 皆様、こんにちは。緑たちかわの山本洋輔です。
最後、3点目は、フードロス問題について取り上げさせていただきます。
私事で大変恐縮ですが、年が明けてからというもの、自分自身、食品ロスについて強く意識する機会がたくさんありました。
年明けの1月には、議員というのはあちこちの新年会に招かれて、ホテルのコース料理みたいなのが出されるわけですけれども、ここにいる議員の皆様も多分わかっているとは思うんですけれども、出された料理が残ってしまう割合というのは、議員や市長たちのテーブルが圧倒的に多かったです。もっとも、ほかの出席者と異なり、議員というのは食べるよりも挨拶をして回らなくちゃいけないですとか、あるいは新年会をはしごするですとか、あとは最初の挨拶だけして退席してしまう、そういう方も多いので、なかなか完食できないというのは理解はできるのですが、やはり自分の貧乏性といいますか、けちといいますか、そういう性分もあり、どうしてももったいないなというふうに私は思ってしまいました。
幸か不幸か、私は新人議員であり、余り挨拶する人もいなかったということもあり、食べることに集中できたので、自分の分は完食。そしてさらには隣に座っていた議員の分もいただいて、少しでもフードロス問題を解決しようとしたのですが、限界があります。
質問ではありませんが、ぜひこの場におられる議員の皆様にも、ほんの少しこのことを心にとめていただけると幸いでございます。
また、1月が終わり、2月になると、今や恒例のニュースになりつつありますが、恵方巻きですとかバレンタインデーのチョコレート等の余りもののことがニュースになります。特に恵方巻きについては、生もののため消費期限も短く、約10億円分が廃棄されているとの推測もあり、農林水産省も、小売業界に対して、需要に見合っただけの量を販売するよう呼びかける事態にまでなっています。一過的な催し物のために多くの食べられるものが捨てられてしまう、本当に嘆かわしいことだと思います。
また、例によってちょっと私事で恐縮ですが、私は、恵方巻きはもちろん翌日の半額のものを食べ、バレンタインデーに至っては、何もいただくことなく、フードロス削減に率先してまいりました。こうしたフードロスを助長させるばかりか、何ももらえなかった人たちの自尊心を傷つけかねない、こうした風習がなくなることを願ってやみません。
さて、2月はこうした事情でフードロスもふえるわけですが、日本全体における廃棄される食品の量は、年間で約646万トンにも上ります。一方、国連世界食糧計画(WFP)が飢餓や貧困に苦しむ人々のために支援する世界の食糧援助量が年間320万トンです。要するに、日本だけで世界の食糧支援の2倍の量の食品を廃棄しているということです。
この事態に対しては国会議員の間でも問題意識が広がりつつあり、つい先日の報道では、超党派の国会議員で食品ロス削減推進法案が今通常国会に提出される見通しとのことでした。本法案は、食品ロスにつながる取り組みを国民運動として推進する目的で制定し、フードバンク活動などを支援するとのことです。
さて、本市においても、こうしたフードロス対策について取り組んでいくことは非常に重要だと考えます。既に数年前から幾つも施策がなされているのは存じていますが、改めてお尋ねします。本市におけるフードロス問題に対する取り組みとして、現在どのようなことをされていますでしょうか。よろしくお願いします。
以上で1回目の質問を終わり、以後、一問一答席にて質問を行わせていただきます。

◎市長(清水庄平君) 
フードロス対策についての見解でございますが、本市における食品ロスの取り組みにつきましては、平成28年度に立川食べきり協力店事業を開始し、29年度には年末年始の立川食べきりキャンペーン、30年度には食べきりレシピブックの作成、配布やイケアとの連携事業を実施してまいりました。
 なお、私自身の私ごとにつきましては、この場での発言は控えさせていただきます。よろしくお願いします。

◆2番(山本洋輔君)
食べきり協力店事業や食べきりレシピブック、イケアとの連携、食べきりキャンペーン等の事業に取り組んでいるというふうにいただきました。食べきりキャンペーンについては、私も昨年末にキッチンクリップをいただきまして、私も非常に便利だなというふうに感じました。こちらの食べきりキャンペーンについては、どのような経緯があって実施するに至ったのでしょうか、お示しください。

◎ごみ減量化担当部長(野澤英一君) 食べきりキャンペーンの経緯でございます。
 平成28年度から開始いたしました食べきり協力店の募集の際に、先ほど議員からも御紹介がありました、年末年始は宴会、パーティーが多く、食べ残しも多いといった声がございまして、店舗側の取り組みだけではなく、お客様である市民にも協力をお願いする取り組みが必要であると。そうした判断から、29年の年末年始に第1回目のキャンペーンを実施いたしました。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。こういったキャンペーン、啓発としては非常に有意義だと思いますので、今後もやっていただければと思います。
来年度といいますか、今後、新しい企画など、どのような展開をしていくのか、何かビジョンがあればお示しください。

◎ごみ減量化担当部長(野澤英一君) 平成31年度におきましては、食べ残しの料理を含む食品ロスにつきまして、市民モニターを募集し、実態調査を予定しております。手つかず、または食べ残しの量と種類、理由を日記形式の調査票に記録し、御報告いただく予定です。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
実態調査ということですが、こちらの調査の結果等はどういうふうに活用しようと考えているのでしょうか。

◎ごみ減量化担当部長(野澤英一君) これまでも、国の調査におきまして、食品ロスの発生量などの基本的な情報は把握できておりましたが、さらに踏み込んだ調査を実施することによりまして、食品別の廃棄理由、また具体的な要因、こういったことを探りまして、さらに効果的な食品ロス削減の対策につなげたいと考えております。
 また、市民が日常的な食品ロスを記録することによりまして、ごみの発生抑制に対する意識の向上も図ることができるものと考えております。
 なお、調査の結果につきましては、例年、3月と8月に発行しております広報の特集号に掲載する予定です。以上です。

◆2番(山本洋輔君) わかりました。ありがとうございます。有意義な実態調査になればというふうに期待しております。
続いて、フードバンクについての質問をさせていただきます。
フードバンクのことは、昨今、認知度も上がってきているので、御存じの方も多いと思いますが、少し紹介させていただきます。
フードバンクとは、まだ食べられるにもかかわらず、消費期限等が近いなどの理由で流通できない食品を、食べ物に困っている人に届ける活動のことです。本市においてもフードバンク立川というものがあり、社会福祉協議会とNPO法人さんきゅうハウス、NPO法人ワーカーズコープや有志の市民等によって運営がなされています。
先日、話を聞きに行ったんですけれども、例えば、賞味期限が近づいて交換が必要になった災害備蓄品を企業様からいただいたりですとか、あるいは要らなくなったお歳暮をいただいて、それは割と高級なお菓子とかが多いんですけれども、そういったものを母子家庭のお子さんにお渡ししてとても喜ばれたりなど、非常に大きな感銘を受けました。
フードバンク立川の活動自体は、お隣の日野市などと比較しても、まだまだ規模は決して大きくはないのですが、現在、定期的にフードドライブといって食べ物を集めて回るようなイベントを実施したりですとか、あるいは、たしか若葉町だったと思うんですけれども、スーパーで受け入れ窓口をつくったりですとか、あるいは啓発や寄附のお願い、寄附の営業に行ったりとか、そういった事業を精力的に取り組まれているということで、今後、この事業はどんどん大きくなっていくんだなということを実感しました。
また、国の流れとしても、先ほど申し上げた食品ロス削減推進法案等でも、フードバンクという取り組みを着実に後押ししていこうという方針になりつつあります。
本市においても今後かかわっていく機会がふえてくるのではないか、そのように考えております。なのでお伺いいたします。現状としては、本市はフードバンクとのかかわりというのは何かございますでしょうか。

◎ごみ減量化担当部長(野澤英一君) フードバンクとのかかわりということで、先ほど市長の答弁にもございました、本市では、イケアとの連携事業ということで、この食品ロス削減プロジェクトを行いました。これは、イケアが事業系ごみの排出事業所として本市に情報提供がございまして、その内容を立川市社会福祉協議会への橋渡しを行った結果、実現した事業でございます。
 今後も、市内の排出事業者から情報提供がありましたら、福祉関係団体等への橋渡しを行ってまいりたいと考えております。以上です。

◆2番(山本洋輔君) 企業との橋渡しをしているということで、今、本当にフードバンクのほうではいろいろな企業にアタックして、いただけるものがあればというふうに積極的に営業をかけていますので、本市としてもぜひ協力していっていただければなというふうに思っています。
あと、フードバンクというのは二つの側面がありまして、入りは廃棄物の減量という、ごみ減量という文脈になるわけですけれども、出の部分、お渡しするという部分に関しては、困窮者支援といった、福祉とか、そういった文脈になります。それなので、今度は福祉の文脈でお尋ねいたします。
私が直接かかわりのある生活困窮者の方も、たまにフードバンクを利用しているというふうに伺っています。福祉という観点から、フードバンクの活動についてはどのように捉えておりますでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 現状、本市では、生活に困窮し、食べるものがなく、緊急的な支援が必要な方に対して、市で対応できる施策がございません。
 こういった方に対しては、立川市総合福祉センター内の立川市くらし・しごとサポートセンターを御案内し、フードバンク事業者からいただいた食べ物を提供することで対応しております。
 当面は、このような対応を継続してまいりたいと考えております。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。困った人に対してはそういうふうにつないでいるということですけれども、これについては実際どれくらいの頻度というか、どれくらいの件数とか、そういうのは把握しておりますでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 正確な件数は把握しておりませんが、生活保護の相談に来庁された方で、お金や食べ物がなく、緊急的な支援が必要な方や、生活保護の受給者で、次の保護費の支給日までの間にお金や食料が底をついてしまった方を、立川市くらし・しごとサポートセンターへつなげた実績はございます。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
お隣の日野市ではフードバンクTAMAというものがありまして、そこでは、食料の倉庫として廃校の一室を日野市から提供を受けているなど、行政とすごい連携がとれているそうです。
決してフードバンクというのは、廃棄されてしまうものを無償でいただくという事業なので、そこまでお金のかかる事業ではなく、そもそも事業の性質上なくて、非常に費用対効果の高いものだというふうに考えています。
立川市としても、そのつなげるという点では仲介するというのは大きな役割だと思いますけれども、そういった協力は何かできませんでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 具体的に、生活保護の方とか、あと生活困窮した方が食料に困っている実態があるときには、こういうフードバンクがあると現場は助かります。ですから、この事業が充実していくことを期待しております。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
福祉部門としては、そういうふうにフードバンクに対して期待をしていただいているということでしたが、では入りの部分のほうでは、本市として何かお手伝いできることというのは、今以上に何か検討できないでしょうか。

◎ごみ減量化担当部長(野澤英一君) フードバンクの入りのほうということで、本市では先ほどのような橋渡しというところを実績として行ってきたというところでございます。
 また、今までも、環境フェアでありますとか、いろいろなそういうイベントのときに、縫いぐるみを集めて、またそれをその場でお渡ししてみたいな、そういったことはしてきておりますので、それを今後フードでできるかどうかというのは、他団体の取り組み状況などを見た中でいろいろと検討してみたいと思います。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
現状としては、本市としてすぐ何かに深くかかわっていくというのは困難かもしれませんが、例えば、今回は詳しく触れなかったんですけれども、フードバンクというのは、よく災害備蓄品というのをいただくことが多いんですけれども、いざというときは、そういう受け取る側だけではなく、提供する側にもなり得ます。
鹿児島県では、フードバンクかごしまというのがあって、鹿児島県とフードバンクかごしまが協定を結んで、災害時にフードバンクかごしまが備蓄する食料を避難所や自治体の物資提供拠点施設や避難者などにお渡しするという取り決めもしているそうです。
フードバンクは常に食べ物の出入りがあるので、常に一定量を担保できるわけじゃないので、正規な災害備蓄品というふうに扱うことはできませんが、副次的な災害備蓄品としては大きな機能があるんじゃないかなというふうに考えています。なので、行政としても協力するメリットは少なからずあると思います。
何もお金をたくさんかけずとも、本市としてもっと協力していけることは多分あると思いますので、今後、何かしらの協力体制が組めないか、ぜひぜひ検討いただくよう要望し、また、私もフードバンクの方からいろいろとお話を伺っていますから、次の機会にでもまた御提案させていただこうと思います。
なので、そういうふうに要望し、今回の質問は終えたいと思います。ありがとうございました。