2019年3月議会の一般質問です。
今回は3問しました。うち1問目は重度障害者の働き方についてです。
重度の障害を抱えている人は仕事をしているときであろうが、なかろうが、介助が必要なのは言うまでもありません。しかし、現行の制度では、就業中は「経済活動」であるとして、公的補助の対象から外れてしまいます。実態を顧みない非合理的な措置だと思います。
さいたま市ではそのような問題意識から、きちんと重度障害を抱えた人の仕事を応援しようということで、市独自の補助を出すことに決めました。「障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例」を抱く立川市としてもそのような支援に取り組むべきだと市へ提案しました。

【参考】さいたま市の取組み

 

【山本の主張内容】
現状の重度を抱えた人は就業中は介助が受けられないという仕組みになっている。重度障害者は就業中であろうとなかろうと、介助が必要であり、「経済活動」だからといって介助補助から除外するという現行の国の制度は非常に非合理的である。重度障害者が働く場合、事業所等で働く場合は、雇用者側で介助体制等を整えたりする然るべき配慮等がなされる場合が多いが、殊に在宅ワークの場合は、そのような雇用者側の支援はほとんどないだろう。重度障害を抱えた人の就業実態の把握状況をご教示いただくとともに、それに関して当事者等から相談は寄せられていないか、また、相談を受けた場合の対応も併せて示していただきたい。
さいたま市では当事者からの声や問題意識から、市独自の補助を出すことに決めた。「障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例」を抱く立川市としてもそのような支援に取り組むべきであるがいかがか。

【立川市の答弁】
結論から言うと、現状ではニーズ多くもないと思うし実態を把握していないので、新たな制度等は検討できないということでした。人数としては重度障害とされている人は80名、うち在宅就労している人は1名だけであり、相談も寄せられていないから、必要ないという答弁でした。
しかし、全国に先駆けて重度障害者の就労補助に踏み切ったさいたま市における重度障害者の数は75名、今回の措置の対象者は3名ということでした。決して人数の少なさは制度を実施しない理由にもならないし、制度がないからこそ、就労人数が少ないという解釈も考えられます。
正直のところ、そこらへんの深掘りは少し甘かったと私も反省しています…今後もハンデを抱えた人たちの就労を応援するためにも定期的に取り上げていきたいと考えます。

(2019/7/29 追記)
参議院選挙の結果、れいわ新選組から重度障害者の方がお二人当選しましたが、議員活動中は障害者総合支援法に基づく介護サービスへの公費負担が打ち切られるということで、まさに本記事で取り上げたことが顕在化しました。(れいわ2氏に当選証書 議員活動中の介護、公費負担 制度改善訴え

このニュースを機に全国的にこの問題が周知され、制度が改善されることを願ってやみません。

 

 

―――――――――以下 議事録――――――――――――

動画はこちら

◆2番(山本洋輔君) 皆様、こんにちは。緑たちかわの山本洋輔です。
通告に基づき、一般質問を行わせていただきます。 まず1点目は、障害を抱えた人たちの働き方についてです。
さて、現在、全国には、就労可能な年齢で障害を抱えた人は300万人以上いると推測されています。そのうち一般企業に雇用されているのは約50万人と言われており、またその数も年々増加しております。また、障害を抱えた人の就労意欲というものも、近年、急速に高まっているという声もあります。
働くということは、お金や生活のためという経済的な自立という意義はもちろんございますが、それだけではなく、働くことを通じて社会との接点を持つ、自分の居場所を持つ、人から必要とされる感覚を持つなど、生きがいや居場所という側面においても非常に重要な意味を持つことは言うまでもありません。そして、そうした経済的に自立したい、あるいは人から必要とされたい、社会との接点を持ちたい、何かに誇りを持ちたいという望みは、ハンデを抱えた人も決して例外ではありません。そうした願いに対して、社会としてきちんと後押ししていくのは当然だと思います。
また、障害者雇用については、よく誤解している人も多いのですが、障害者雇用はあくまでも福祉的な意味合い、企業でいえば社会貢献ですとかCSRとか、そういった文脈でしか捉えていない人も多いと思いますが、それは大きな誤解だと思います。すなわち、障害者雇用は、言い方は悪くなりますが、決して仕方なくするべきものではなく、雇用者側にとっても実は十分に大きなメリットがあると言われています。
まず1点目の大きなメリットとしては、労働力としての戦力としてのメリット。障害者は、社会や企業から一方的に支援されるだけの存在では決してありません。特に、社会経験があり、またスキルを持つ人は、現在でも企業でさまざまな形で活躍しており、また、中には記憶力や感性において健常者と比べて突出している人も少なからずおります。そういった人たちが活躍できるようなしかるべき環境さえあれば、健常者以上のパフォーマンスを上げることができます。
もう一つの障害者を雇用するメリットは、多様性による競争力の強化が上げられます。昨今、働き方改革がしきりに喧伝され、ワーク・ライフ・バランス、テレワーク、在宅ワーク、そういった働き方の多様化が求められています。障害者を雇用するということは、さまざまな制約事項ですとか条件を克服して、会社の戦力として人材を活用することであります。障害者雇用を通じて、雇用に関するあり方を見直す大きなきっかけになります。そして、そういった取り組みが、今後ますます進展する多様な雇用のあり方について、率先して対応していく機会となり、企業の働き方に多様性が生まれ、その結果、その企業自体に競争力が生まれるというものです。
以上のようなメリットが企業にあるわけですけれども、ただ、そういったメリットというのは、すぐにあらわれるものではなく、なかなか長期的なメリットです。なので、目先の仕事や利益にとらわれていては、障害者を雇用するということに対してはなかなかハードルの高いものとなってしまいます。そうなってくると、やはり政治や行政によってそういったものを積極的に後押ししていく、そういうことが重要になってくるのではないでしょうか。
ハンデを抱えた人たちの就労をさせているのが障害者雇用促進法というものです。これは有名な法律なので、大まかな内容は御存じの方も多いとは思いますが、雇用に際しての差別の禁止ですとか、あるいは合理的配慮の提供義務、また法定雇用率等も定めている法律です。この障害者雇用促進法の改正版が、昨年、2018年4月より施行されました。
改正内容の大きなポイントは、法定雇用率にかかわるものです。法定雇用率というのは、これも御存じの方も多いとは思いますが、企業や行政などに達成を義務づけている、従業員のうちの障害者を雇うべき割合で、これを満たさない場合は、障害者雇用納付金を納める義務が発生したりですとか、あるいは逆にこの数値を超えた場合は、報奨金といった形などで一定額の支給を受けることができる、そういうものです。
まず、今回の改正の1点目のポイントは、障害者雇用促進法が適用される従業員数の引き下げです。障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が、これまで50人以上の事業所から45.5人以上の事業所に変わります。要するに、適用される対象企業が増加することになります。
2点目の改正ポイントは、法定雇用率の算定の基礎に精神障害者を追加したことです。これまで法定雇用率の基礎には身体障害者と知的障害者しか入れていなかったのですが、今回から精神障害者も追加されることになりました。
そして3点目は、法定雇用率自体の上昇です。各団体0.2%の上昇でして、民間企業は2.0%から2.2%へ、国や自治体は2.3%から2.5%、教育委員会は2.2%から2.4%へと上昇します。また、2021年4月からはさらに0.1%引き上げることになっています。
上記のことから、障害者雇用をさらに拡大していこうという方針はますます強くなっていく見込みです。
立川市としても、障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例を抱く自治体として、就労したいという人を応援していくという姿勢を明確にすべきだと考えています。
そこで、1点目の質問をさせていただきます。
立川市における障害者の就労に関する考え方や姿勢についてどのように捉えているのか、お示しください。

◎市長(清水庄平君) まず、障害者の就労に関する考えや姿勢ということでございます。
 本市の障害者就労に関する考えや姿勢についてでは、障害者が住みなれた地域で自立した生活を送るためには就労が重要であり、働く意欲のある障害者が希望や能力、適性を十分に生かし、障害の特性に応じて活躍できることが普通の社会である。また、障害者とともに働くことが当たり前の社会となるよう、就労支援に取り組んでいく必要があると考えております。

◆2番(山本洋輔君) 答弁ありがとうございました。
それでは、答弁いただきましたので、ハンデを抱えた人たちの働き方について、引き続き質問させていただきます。
御答弁ありがとうございました。就労支援に取り組んでいく必要があるという認識は強いようでよかったんですけれども、では現状として、まず立川市内において就労している方は何人いらっしゃるのでしょうか。よろしくお願いします。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 本市の障害者の就労人数についてですが、ハローワーク立川管内、管内は本市を含めて9市ございますが、平成29年10月末現在、3,267人となっております。このうち約4割程度の1,300人ぐらいが立川市民ではないかとハローワークの担当から伺っております。
 また、本市の就労支援事業で一般就労が定着するように支援している人数は、31年1月末現在、186人となっております。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
立川市は恐らく1,300人程度であると。働いている人たちは、例えば在宅で働いておられるのでしょうか、あるいは企業に通勤しているのか、そういった就業形態等は把握しておりますでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 就業形態は把握しておりませんが、特例子会社などの企業で働いている方が多いと思われます。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
では次に、重度障害者の在宅就労等についてお尋ねいたします。
現状の障害者総合支援法に基づく福祉制度では、肢体不自由などの重度障害者は、申請により、ヘルパーが自宅に訪れて、排せつですとか入浴、食事介護、外出支援などを総合的に行う重度訪問介護が受けられるようになっています。利用者の一定の自己負担以外は、国や自治体が支援することになっております。
しかし、そういう人たちが就労する場合、就労中は経済活動というふうにみなされ、その間、サービスは受けられないということです。事業所に通う場合は、就労先で何らかの配慮をいただいたりとか、助けを受けることは可能でしょうが、例えば在宅勤務になった場合、経済活動とみなされ、介護や支援を受けられない、そういう危険な状態に陥ってしまいます。そういうことに対して、当事者の方から、在宅勤務について何か不自由を感じているとか、そういった相談等は今のところ受けておりますでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) これまでに、障害者の方から在宅勤務の相談等は受けてございません。以上です。

◆2番(山本洋輔君) それでは、これから仮に重度障害の方が在宅就労についての相談に来られた場合、どのような対応や御案内ができるのでしょうか、お示しください。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 相談に来られた場合の対応でございますが、まずはお話をお聞きし、一緒に考えてまいります。
また、就労先企業での合理的配慮の提供の有無や国などの関係機関を紹介してまいります。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
この問題については、実はさいたま市において先進的な取り組みをしておりますので、少し紹介させていただきます。
さいたま市は、2019年度から、重度障害者が在宅で就労する際、ヘルパーを派遣する支援を実施することになりました。国の制度では、先ほど申し上げたとおり、就労中は経済活動として公的な介護が受けられないため、市の財源で介護を受けられるようにするという全国初の試みです。
さいたま市では、市内の重度訪問介護利用者は75人だったということですが、本市における重度訪問介護利用者は現在何名おられますでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 平成31年2月1日現在、重度訪問介護の支給決定をしている人数は80人となっております。以上です。

◆2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
それでは、仮に先ほど申し上げたさいたま市のような制度が本市にもあった場合、この制度の対象となる人、すなわち在宅就労している重度障害者の人数は把握しておりますでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 在宅就労している重度障害者は、1名把握しております。以上です。

◆2番(山本洋輔君) 1名ということで、80名に対して在宅就労している方が1人ということで、やはり在宅で就労するのはなかなか難しいのかなという状況が伝わってまいります。
まだ1人ということで、人数としてのボリュームはまだまだかもしれませんが、さいたま市のような制度を本市でも導入することによって、在宅就労できる人が増加する可能性も大いにあり得ると思います。こういった制度を例えば本市でも検討できませんでしょうか。

◎福祉保健部長(吉野晴彦君) 本市では、就労中は経済活動に当たりますので、公費の支出は現在考えておりません。以上です。

◆2番(山本洋輔君) 就労中はあくまで経済活動だから公費は出さないという、国のスタンスに倣うということですが、やはり当事者にしてみれば非常にナンセンスなのではないかなというふうに思います。当事者の方からしてみれば、就労時間であっても介護が必要なケースもあります。
さいたま市の例では、例えばトイレに行くにも介護が必要であったり、あるいは人工呼吸器を下に落としてしまうと命にかかわる、そういった相談が寄せられていたそうです。
障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例を抱く本市としても、きちんとそのことに向き合っていくべきではないかなと意見は添えておきます。意見を添えておいて、次の質問にまいろうと思います。