12月議会で取り上げた3点目の質問は親が高齢化している障害者の人たちへのサポートについてです。

昨今、「8050問題」や「老障介護」という言葉がしきりに聞かれるようになってきました。

どちらの問題も困難を抱えた人と暮らす親御さんが高齢化し、これまでと同様の生活ができなくなる危機を念頭においているものです。

これまで、行政といてはそうした人たちの現状を全く視野に入れていなかったと考えています。

例えば引きこもりの問題でも、これまで政府は40歳までのみを調査対象とし、全く現状がつかめない状況でした。

当然ながら40歳以下の引きこもりの統計データを見てもナンセンスです。

最近になってようやく対応をし始めましたが、老障介護の問題についてはいまだに認知が薄弱だと感じます。

今回の質問においては困難を抱えた人たち及びその親御さん達の高齢化についてどのような認識を抱いているのか、何かしらのサポートが必要ではないのかという点を念頭に、行政の考えを伺いました。

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ーーーーーーーーーー以下、議事録よりーーーーーーーーーーーー

○2番(山本洋輔君)
最後に、3点目の質問に移ります。
昨今、「8050問題」という言葉がしきりに聞かれるようになりました。8050、80と50。これはすなわち、80代の親と50代のひきこもり当事者の問題。すなわち、ひきこもりが長期化して、当事者がひきこもりからの脱却がますます困難になる一方、同居している親御さんも高齢になり、収入や介護に関して問題が発生し、さらには親も子どもも働いていないため、社会的に孤立してしまう可能性が高いという、極めて深刻な問題です。
これまでひきこもりに係る調査というのは、子ども・若者という分野での取り扱いでしたため、人数の統計とかも16歳から39歳までしかとられておらず、実は40歳以上のひきこもりの人数というのは調査からも外れていて、行政や国としても状況を全く把握していない状況でした。
そんな事態を受けて、ことしになって、やっと初めて内閣府が40歳以上から59歳までの人を対象とした初の実態調査が実施されました。
ひきこもりの問題はそんな感じなんですけれども、ひきこもりだけでなく障害者の方々にも実は同じような問題が発生しています。すなわち、障害者の人たちの親御さんが高齢化し、さまざまな問題が生じている。本人が自立を望んでいても、就労先に恵まれていない、あるいは受け入れ施設が十分でないなどの理由で、親と同居して世話をしてもらっているというケースが多いようです。
障害を抱えている人でワーキングプアとされる年収200万円の方の割合というのは全体の99%、さらにその半分くらいは年収100万未満だということです。そのため、経済的事情もあって、多くの障害を抱えた人たちは親御さんと同居せざるを得ない状況になっております。
こちらは「8050問題」という言い方はしないんですけれども、高齢の親御さんが障害を抱えた子どもの面倒を見ているという状況を「老障介護」と言ったり、あるいは親御さんが自分の亡くなった後に子どもがきちんとケアを受けられるのか、自分の死後についてすごい心配する状況を「親亡き後問題」と言ったりするそうです。
障害を持つ子どもを抱える家庭にとっては、その子の面倒を全面的に見ている両親が将来その子を支えられなくなったら、あるいはその子の財産管理ですとか生活の維持を誰が担ってくれるのか、そういった不安や心配というのは最も切実な問題です。
中には自分の子どもより早く死ねない。死ぬに死ねないという切実な思いを抱いている親御さんもたくさんいます。
そこで質問です。
障害を抱える方の親が高齢化しつつあり、懸念事項がふえています。そういった現状についてどのような認識でしょうか。よろしくお願いします。
以降は、一問一答席にて質問を続けます。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 高齢の親と暮らしている障害者の状況についてでございます。
 高齢の親が障害者の子どもの面倒を見ている状況については、議員が言われるように「老障介護」という言葉が現在使われております。
 親としては、障害者の子どもが一人で生きるために必要な準備を親が元気でいるうちにすることが望まれますが、適切な場所が身近にないなどのために、結局親が年をとってしまい、子どもを手元に置いたままになっているケースがあるとも聞いております。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) 親御さんが年をとってしまい、子どもを手元に置いたままになっているケースもある、そういった事態が発生していることを認識している。
─ということでした。
それでは、次の質問をさせていただきます。
そういったケースもあるということを聞いているということですが、何かそれに関して調査をしたりですとか、そういうヒアリングをしたりとか、そういうのはあったんでしょうか。よろしくお願いします。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 本市の老障介護の状況については、特段調査をしておりません。
 ただし、現在、第5期障害福祉計画・第1期障害児童福祉計画に掲げております「地域生活支援拠点等の整備」について検討しておりますが、その中で知的障害者の状況について調べております。
 具体的には、平成30年6月時点になりますが、40歳以上の知的障害者で75歳以上の家族と同居している方は76名、単身で生活している方は77名いらっしゃることを把握しております。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) ありがとうございます。40歳以上の知的障害者の方で75歳以上の親御さんと同居している方が76名とのことでした。
そういった方たちの親御さんにとっては、自分にもし万が一のことがあった場合、我が子がきちんとした生活を送れるのだろうか、きちんとケアを受けて生きていけるのだろうか、そういう心配というのは本当に切実なものではないかと思います。
私は、市としてもきちんと何らかの手を差し伸べていくべきだと考えますが、何か市としてはそういった人たちに対して対応をしている、あるいは今後検討するということはありますでしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 何か対応しているかということでありますが、親の入院や施設入所、亡くなったとの一報が支援者などから入ってきておりますので、その際には障害福祉課のケースワーカー等が迅速に動き、緊急保護や障害支援区分があればショートステイの利用、ヘルパーの派遣で急場をしのぎ、その後グループホームの入居等の対応をしております。
 また、現在、地域生活支援拠点等の整備について検討しております。この拠点は、障害者の重度化・高齢化や親の高齢化、親亡き後を見据えて相談支援や緊急時の受け入れ、地域の体制づくり等の機能を担うもので、平成32年度末までに1カ所設置する計画となっております。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) ありがとうございます。
それでは、次に自立支援協議会の取り組みについての質問に移ります。
先ほど言及のあった地域生活支援拠点の整備に関して、自立支援協議会というものが立ち上がっているというふうに伺っておりますが、その取り組みについて教えていただけますでしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 自立支援協議会の取り組みでありますけれども、先ほどの地域生活支援拠点等の整備を検討するために、本年7月にプロジェクトチームを立ち上げました。
 現在、相談支援やショートステイなどの地域資源を踏まえて、拠点が担う具体的な機能について協議を行っており、来年3月までには整備の方向性などをまとめる予定でございます。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) ありがとうございます。それでは、地域生活支援拠点がさまざまな事態に対応する役割を担うということです。引き続き地域生活支援拠点の設置については、議論を進めていっていただければと思います。
それでは、次に今後の計画ではなく、グループホームの状況についてお尋ねします。
老障問題あるいは親亡き後問題の背景の一つとしては、受け入れるグループホームの不足により、仕方なく親と同居しているというケースもあるかと思います。
また、今後老障問題や親亡き後問題が一層深刻化すれば、今以上にグループホームに対する需要が増大すると思われます。
現状としては、グループホーム数は足りているという認識でしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 市内のグループホームの状況でありますが、平成30年11月末現在、29カ所ございます。比較的障害の程度が軽い方の緊急の入居には対応できている反面、重度の障害者が入居できる施設は不足している状況でございます。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) ありがとうございます。現状としては、重度の方が入れる施設が不足しているということですが、その認識をもとに、今後グループホームを増設するなど、計画や予定があれば教えてください。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 平成30年度からスタートしている第5期障害福祉計画・第1期障害児福祉計画では、30年度から32年度までの3年間で毎年度1カ所、計3カ所の設置を計画しております。
 今年度、既に2カ所が設置されており、その他にも設置したいとの相談がありますので、計画は達成できるものと考えております。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) 1年に1カ所が目標で、今年度既に2カ所設置済みということです。
ちなみに、既に設置した2カ所というのは、重度の障害の方も入所できるような施設なんでしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 身体と知的の重複障害のある車椅子を使用している方の入居はあるものの、比較的軽度の方の入居が中心となっております。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) ただいまの答弁ですと、重度の方が入れる施設が足りていないという一方、今回新しく設置された施設についても、そういった方が入れない。
ということは、重度の方が入れない状況というのは今後も続くのかなというふうに思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) グループホームの開設に当たっては事前に市に相談がありますので、その際に市から重度の方を受け入れていただくように要請しているところではあります。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) わかりました。じゃ、現状の計画で3年で3カ所ということで、3カ所設置すれば、需要はとりあえず満たせるという御認識でしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 重度・軽度を問わなければ満たせるということでございます。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) わかりました。重度・軽度を問わなければということですけれども、今後ちょっと、それについてはまだまだ自分も調べ不足なので、ちょっと今後確認していこうかなというふうに思います。
最後になりますが、在宅から、親御さんが亡くなって、突然グループホームへ入居するというのは介助者や当事者にとっても非常に大きな負担になると思います。だとしたら、日ごろからグループホームやひとり暮らしの疑似体験などをして、それでそういった施設やひとり暮らしの適性を身に付けていくことが必要になってくるかなというふうに思います。
例えば、身体障害については、柴崎町にあります柴崎町自立生活センター・立川にて自立生活体験室というものがあると伺っております。精神障害や知的障害についても、そのようなものが必要ではないかなというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○福祉保健部長(吉野晴彦君) 市内での体験利用の場としては、東京都の事業になりますが、身体や知的障害については認定短期入所事業を、精神障害については精神障害者都型ショートステイ事業を実施しているほか、障害者総合支援法におきましても、グループホームの体験型利用として年間50日以内まで認められております。
 以上です。

○2番(山本洋輔君) わかりました。ありがとうございます。
現行の制度のもとでもグループホームの体験ができるというふうに解釈しました。
現行の制度で体験可能ということですので、今後必要な方がきちんと利用できるように、それを周知して、必要そうであれば事前に声をかけるみたいな、そのような取り組みをしていっていただければなというふうに要望して、今回の私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。