立川市議会議員の山本ようすけです。

 

これから少しずつ12月議会の報告をしていきます!

今回は一般質問の報告の一つ目の質問「地籍調査」について取り上げます。

<目次>

1.現在の土地の境界線って明治時代由来??

① 今の土地の面積や境界線、所有者は法務局に登録されているが…

② その記録は明治時代の地租改正由来がほとんど

2.地籍調査とは?

① 正確な面積と境界を明らかにするのが地籍調査で、自治体がするもの

3.地籍調査をしないと…

① 土地取引等におけるトラブルの危険性が

② 災害発生時の現状復旧や復興事業開始に遅れが生じる可能性がある!

3.地籍調査の実施を!

① 既に9割以上の自治体が実施!

② 立川市も地籍調査を!

 

 

1 現在の土地の境界線って明治時代由来??                     

① 今の土地の面積や境界線、所有者は法務局に登録されているが…

土地の境界や面積、所有者についての正式な情報は現在法務局に「公図」漢字で書くと公に図表の図、それと登記簿、この二つに記載されて、土地に関する権利として法的に保護されます。

公図というのは一筆ごとに地図に境界が示してある図面で、登記簿はそれぞれの土地の地番や面積、所有者が記録されます。

これだけ聞くと、きちんと作成した地図に緻密に境界線を書き込んであるものではないか、という想像をしてしまいます。

 

② その記録は明治時代の地租改正由来がほとんど

しかし、実は登記所に備え付けられている地図や図面は、最新の測量どころか、大部分は明治時代の地租改正時に作られた地図が基になっています。

登記簿に記載されている面積などもそれに準じているというのが現状です。

当然、明治時代初期の測量技術は現在とは比べ物にならず、また、地租改正による測量は徴税が一番の目的だったので、その面でも過少に面積を申告するインセンティブが働いたことなどを踏まえると、必ずしも実際の面積と一致しているわけではないことが想像できるかと思います。実際に地籍調査をすると登記上の面積が実面積より過少だったということが非常に多いようです。

 

どれくらいズレいているかというと…国が調査した実測と公図とのズレの予測地図がありますので、ご覧ください。

 

<立川駅周辺と駅南側>

 

<玉川上水とその周辺>

<西砂地域>

見ての通り、赤(1m~10m)の地域が多く、かなり現実とズレている可能性があるわけです。

そんな公図や登記簿を基に、税制や土地の取引や相続がされているわけですが、そういった状況がために、土地取引や相続、災害時の復旧、など、土地の所有関係をはっきりさせなければならない、あらゆる場面において困難が生じているということです。

 

2.地籍調査とは?                                   

① 正確な面積と境界を明らかにするのが地籍調査で、自治体がするもの

そうした状況を改めるべく1951年に国土調査法が制定して、始まったのが地籍調査です。

地籍調査は地権者立ち合いの基で面積や境界線を測量して確認、それを地籍図、地籍簿に記入して登記所へ正規に登録するという一連の流れのことを指します。

国は専用のWebサイトを作って周知に努めたり、補助を出しているものの、事業主体は自治体なので、実施するかどうかは自治体に委ねられています。

 

3.地籍調査をしないと…                                

地籍調査は上記の一連の流れだけで数年を要します。それを市内全域でやるというのだから、数十年かかるような作業になってしまいますが、それでもやらねばあらゆる面での不具合が生じてきます。

① 土地取引等におけるトラブルの危険性が

まずは土地取引におけるトラブルという観点です。先ほど申し上げたように、現在の土地取引等の根拠となる公図や登記簿というのは実測と必ずしも一致しない状況で、時としては土地の境界等をめぐってのトラブルに繋がります。これは民有地同士でも、公有地と民有地の間でも起こりうるかと思います。

市の公共事業などで、過去のトラブル事案はないかと聞きました。最近では特に起きてはいないということでしたが、地籍調査をしていれば、そうしたトラブルの危険性は軽減できるという答弁でした。

② 災害発生時の現状復旧や復興事業開始に遅れが生じる可能性がある!

東日本大震災の発生時にも地籍調査がなされていなかったために、境界確認の立ち合い等に時間を要し、事業開始までに時間を要してしまった地域が散見されたようです。震災が発生すると地殻変動により土地自体の移動が起こってしまったり、土地の境界線や杭、目印といったものが損なわれてしまう可能性があります。

③ 課税の公平性が担保されない!

現在の固定資産税は登記簿に記載の面積に基づいて算出されるため、地籍調査により税額の増減が発生する可能性があります。逆に言えば、現在の固定資産税が本来の税額と異なる可能性が高い、というのが現状です。

 

4 地籍調査の実施を!                                

① 既に9割以上の自治体が実施!

各自治体の取り組みや全国の実施状況は国が作っている地籍調査Webサイトからも見ることができます。

全国の地方自治体1741自治体の取り組み状況を見ると、既にほとんどの自治体が取り組んでいることがわかります。

都市部の自治体では未着手の自治体が多いようですが、立川市もその一つです。

立川市と接している周辺自治体では、

未着手…は昭島市、国立市、東大和市

休止中…武蔵村山市

実施中…日野市、国分寺市、小平市、福生市

8市のうち、既に半数以上の5市が開始します。

また26市では、14自治体が実施中、休止中が2自治体、未着手は10自治体でした。

 

② 立川市も地籍調査を!

私が多くの自治体が実施している現状を踏まえ、また、これまで挙げた税の公平性の観点や、民間同士、あるいは公有地と民有地との境界を改めて明確化させることによるメリット等を考えればやはり地籍調査を開始するメリットはある、そしていつかどこかのタイミングではやらねばならないとは考えています。

市に実施を訴えましたが、市としては特に現状として困っていることはないし、費用対効果の面や特に人員や財源面ではかなり厳しい、国の動向を注視していくという答弁でした。

この地籍調査事業は、地方交付税を交付されている自治体はほぼゼロ負担でできるのですが、財源に比較的恵まれている(立川を含む)不交付団体は、実施経費の25%を負担しなければならない、という事情があり、立川市で実施するのに負担が生じることも事実です。

しかし、この地籍調査はのメリットは一部の部署や事業が劇的に改善、というよりは極めて広く浅くメリットが出てくるもので、緊急的な必要性や地籍調査を実施しないことによる不便さというのもなかなか感じにくいのではなかろうかと思います。

地籍調査をしていることで、例えば公共事業や道路開発などこれまで実施していた測量をしなくて済む、あるいは市は関与していないものの、民間同士での土地取引や相続で市民が便益を享受できる、課税も適正化される、災害発生時の対応が円滑になる、そういった広く薄いメリットはたくさんあるはずです。今後、そういったメリットも訴えながら今後も実施を呼び掛けていこうと思います。